ハーブティーの原材料表示を見ていると、やたらと名前を見かけるハーブがあります。
レモングラスです。
「レモン」と付くのに、レモンとはまったく別の植物。しかも見た目はただの細長い草——なのに、ブレンドの中身を見ると、たいてい入っています。
これには理由があります。
この記事では、レモングラスの香りと味、どんなときに飲まれてきたか、おいしい淹れ方まで、ひととおりお話しします。

レモングラスとは
- 学名……Cymbopogon citratus
- 科・属……イネ科オガルカヤ属
- 和名・別名……レモンガヤ、コウスイガヤ、レモンソウ
- 分類……多年草
- 使用部位……葉
原産はインドや東南アジア。名前のとおりイネ科の植物で、見た目はススキやレモンガヤの仲間らしい細長い葉が株から放射状に伸びます。背丈は1メートルを超えることもあり、群生すると壮観です。
和名の「コウスイガヤ(香水茅)」がいい名前だと思います。香りを持った草、そのままですね。
タイ料理のトムヤムクンに欠かせないハーブでもあるので、「あの酸味と香りのスープの、あの香り」と言えば伝わる方も多いかもしれません。
どんな香り・味がするのか
葉を折ったりこすったりすると、レモンそっくりの香りが立ちます。
ただし、レモンとは決定的に違う点があります。
酸っぱさがまったくない。
レモンの香りだけを取り出して、酸味を抜いたような——そういう澄んだ爽やかさです。お茶にすると、すっきりした後味で、キレがあるのに刺々しくない。
味そのものはとても穏やかで、クセはほとんどありません。
初めての方へ
ハーブティーの中ではもっとも飲みやすい部類です。苦味も渋味もえぐみもなく、「ハーブティーは薬草っぽくて苦手」という方でも、レモングラスなら大丈夫という方が多いです。まずここから始めるのは、悪くない選択だと思います。
こんなときに飲まれてきました
レモングラスは、原産地では古くから食後のお茶として親しまれてきました。
- 食事のあと、口の中をさっぱりさせたいとき……脂っこいものを食べた後に選ばれてきました
- 気分を切り替えたいとき……仕事の合間や、午後のひと息に
- 暑い季節に……冷やしてもおいしく、夏の水分補給として飲まれてきました
もうひとつ、これがレモングラス最大の役割かもしれません。
ブレンドの「飲みやすさ担当」。
たとえば生姜やシナモンだけのお茶は、悪くはないのですが「効きそうだけど、毎日は重い」となりがちです。そこにレモングラスが少し入るだけで、ぐっと軽やかになって、続けられる味に変わります。
主役を張るタイプではないけれど、いないと全体がまとまらない。そういう存在です。
おいしい淹れ方
- 茶葉の量……ティーカップ1杯(150〜200ml)にティースプーン山盛り1杯
- お湯の温度……熱湯(95〜100℃)
- 蒸らし時間……3分ほど
- フタ……する(香りを逃がさないため)
葉のハーブなので、成分と香りはわりと早く出ます。長く置きすぎると香りが飛んで、平坦な味になってしまうので、3分を目安に。
生のレモングラスが手に入ったら、ハサミで2〜3cmに刻んでから使ってください。長いままだと香りがうまく出ません。乾燥品も同じで、大きな葉のままより、少し折ってから淹れたほうが立ち上がります。
冷やしてもおいしいハーブです。濃いめに淹れて氷で急冷すると、夏向きのすっきりしたアイスティーになります。水出しでも作れます。
何と合わせる?ブレンドのコツ
レモングラスの役割は、ほぼ決まっています。全体を軽くする係です。
- ジンジャーと……生姜の強い辛みが和らぎ、毎日飲める温かい一杯になります
- ペパーミントと……清涼感が二重になり、食後にぴったりのすっきり系に
- ローズヒップと……酸味と爽やかさが響き合い、赤くてきれいなお茶になります
- ほうじ茶・緑茶と……和のお茶と合わせても違和感がなく、香りだけが足されます
ブレンドは3つの役割で考える
主役(目的のハーブ)+飲みやすさ役(レモングラス、ミントなど)+彩り役(マロウ、カレンデュラなど)。この3つで組み立てると、初めてでも失敗しません。
家で育てられる?
育てられます。しかも丈夫で育てやすい部類です。
ただし気をつける点がひとつ。寒さに弱いので、日本の多くの地域では冬越しに工夫が要ります。鉢植えにして、冬は室内の明るい場所へ取り込むのが確実です。
日当たりと水はけの良い場所を好み、夏はぐんぐん育ちます。株が大きくなるので、鉢はゆとりのあるサイズを選んでください。収穫は外側の葉から。根元を残せば、また伸びてきます。
飲むときの注意点
気をつけたい方
一般的な飲用量であれば穏やかなハーブですが、妊娠中の方は控えたほうがよいとされることがあります。また、イネ科の植物なので、イネ科の花粉にアレルギーのある方は念のためご注意ください。
持病がある方、お薬を飲んでいる方、心配なことがあるときは、医師や薬剤師にご相談ください。
美城のブレンドでは
長野県飯田市の美城(みき)では、自家栽培のハーブでブレンドティーを作っています。
レモングラスは、その中でもっとも多くのブレンドに登場するハーブのひとつです。
- 体ぽかぽか……甜茶、ジンジャー、レモングラス、ローズヒップ
- さらさらからだめぐり……ヨモギ、レモングラス、レモンバーベナ、ペパーミント
- おなかご機嫌……レモングラス、ジンジャー、レモンバーム、スペアミント
- レモングラスほうじ茶……ほうじ茶、レモングラス
並べてみると、ジンジャーと組む回数が多いのが分かります。生姜のような主張の強いハーブほど、レモングラスの軽さが効いてくるということですね。
最後の「レモングラスほうじ茶」は面白い一本で、和のお茶にレモングラスの香りだけを足したもの。ハーブティーが苦手な方や、年配の方への贈り物としても渡しやすい顔ぶれです。
まとめ
- レモングラスはレモンの香りだけを持ち、酸っぱさがないイネ科のハーブ
- クセがなく、ハーブティー初心者にいちばんおすすめできる飲みやすさ
- 主役ではなくブレンドを軽くして「続けられる味」にする役
- 熱湯で3分、フタをして。生葉は刻んでから
- 育てやすいが寒さに弱いので鉢植えで冬は室内へ
相性の良いハーブについてはミントの種類別まとめ、
冷えが気になる季節の飲み方は秋の冷えにおすすめのハーブティー7選もあわせてどうぞ。
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