梅雨のころ、どこからともなく漂ってくる甘く濃い香り。その正体がクチナシの花です。
クチナシは、ジンチョウゲ・キンモクセイと並んで「香りの花木」として親しまれてきた木です。

この記事では、クチナシの特徴と育て方、実の使い道をまとめました。
先に結論
クチナシは、アカネ科の常緑低木。初夏(6〜7月)に甘い香りの白い花が咲きます。
秋から冬に熟すオレンジ色の実は、栗きんとんやたくあんの黄色の色づけに。漢方では「山梔子(さんしし)」という生薬です。
育てるなら、剪定は花が終わったらすぐ。オオスカシバの幼虫に注意します。
クチナシは、どんな植物?
- 学名……Gardenia jasminoides
- 科……アカネ科の常緑低木
- 分布……静岡県より西の本州・四国・九州・沖縄、中国、インドシナなど
- 花……6〜7月。白く、強い香り。咲き終わるころに黄色っぽく変わる。八重咲きの品種も(オオヤエクチナシなど)
- 実……11〜12月ごろ、黄赤色〜オレンジ色に熟す

「クチナシ」って、ちょっと変わった名前だよね。どういう意味なの?

実が熟しても口が開かず、種を散らさないことから「口無し」と呼ばれた、という説があります。将棋盤や碁盤の脚は、クチナシの実をかたどったもので、「口出し無用」の意味が込められているとも言われますよ。
★実の使い道:栗きんとんの黄色
クチナシの実は、昔から黄色の色づけに使われてきました。
- 料理の色づけ……栗きんとん、たくあん、栗ごはんなどを、きれいな黄色に
- 染め物……布を黄色に染める染料に
栗きんとんやさつまいもを黄色くするとき
- 乾燥したクチナシの実を1〜2個、包丁で割るかつぶす
- お茶パックなどに入れて、さつまいもや栗と一緒にゆでる
- 色がついたら取り出す
料理の色づけに使う実は、食用として売られているものを選んでください。庭のクチナシの実を使うときは、農薬を使っていないものに。
同じように料理を黄色くするスパイスには、ターメリック(ウコン)もあります。

おせちの栗きんとんがきれいな黄色なのは、クチナシの実のおかげだったんだ!
★育て方のコツ
- 場所……日なたから半日陰。寒さにはやや弱いので、寒い地域では冬の寒風を避ける
- 水やり……水切れに弱い。鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷり
- 肥料……花が終わったら、お礼肥を少し
- 剪定……花が終わったらすぐ。花のあとに伸びた枝の先に翌年の花芽ができるので、秋に強く切ると翌年の花が減る
オオスカシバの幼虫に注意
- クチナシでいちばん困る害虫は、オオスカシバ(蛾の仲間)の幼虫。緑色のイモムシで、夏の間に葉をどんどん食べる
- 葉が急に減っていたら、葉の裏や枝をよく見て、見つけしだい取り除く
- 新芽や花芽まで食べられると、翌年の花がほとんど咲かなくなることも
(育て方はNHK出版「みんなの趣味の園芸」を参考にしました)
香りの花木では、秋のキンモクセイも人気です。キンモクセイの花のお茶は桂花茶でご紹介しています。
★漢方「山梔子」を長く飲むときの注意
クチナシの実は、漢方では「山梔子(さんしし)」という生薬として使われ、いくつかの漢方薬に入っています。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開している注意喚起では、山梔子を含む薬を長く(多くは5年以上)飲み続けると、「腸間膜静脈硬化症」という大腸の病気が起きるおそれがあるとされています(PMDAの資料)。
知っておきたいこと
- 山梔子を含む漢方薬を長く飲んでいる方は、腹痛・下痢・便秘・おなかの張りがくり返すときは、医師や薬剤師に相談してください
- ほかの漢方薬と一緒に飲むと、同じ生薬が重なることがあります。いくつか飲むときは、薬剤師に確かめてもらう
- クチナシの実を、自己判断で薬の代わりに煎じて飲むことはしないでください
- 料理の色づけに使う程度の量は、ふつうの食べ方です
まとめ
- クチナシはアカネ科の常緑低木。初夏に甘い香りの白い花
- 実が熟しても口が開かないことから「口無し」という説
- 実は栗きんとんやたくあんの黄色の色づけに
- 剪定は花が終わったらすぐ。オオスカシバの幼虫に注意
- 漢方の山梔子を長く飲む方は、おなかの不調がくり返したら医師や薬剤師に相談
初夏は花の香り、冬は実の黄色。一年を通して楽しめる木です。
ほかのハーブについてはハーブの種類・名前一覧図鑑にまとめています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。



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