9月も後半になると、どこからともなく甘い香りが漂ってくる時期があります。
キンモクセイです。
姿を探すより先に、香りで気づく花。日本では「秋の訪れを告げる香り」として親しまれています。
先に結論
キンモクセイの花はお茶にできます。
中国・台湾では「桂花茶(けいかちゃ)」として古くから親しまれてきました。
香りを楽しむだけの花だと思っていた方には、少し意外かもしれません。
キンモクセイはどんな植物?
- 学名:Osmanthus fragrans var. aurantiacus
- 科名・属名:モクセイ科モクセイ属
- 分類:常緑小高木
- 原産地:中国
- 開花時期:9〜10月
- 使う部分:花
学名のOsmanthus(オスマンサス)は、ギリシャ語で「香り」を意味するosmeと、「花」を意味するanthosを組み合わせた言葉です。「香る花」そのものが名前になっているわけです。
種小名のfragransは「芳しい香りの」、aurantiacusは「橙色の」という意味。学名だけで、この花の特徴がすべて説明されています。

香りが強い理由
キンモクセイの香りは、離れた場所からでも感じられるほど強いと言われます。
小さなオレンジ色の花が、枝にたくさん集まって咲きます。ひとつひとつは小さくても、数が多いぶん香りの総量が増えるためです。
日本では桜・梅と並んで、季節の訪れを香りで知らせる花として親しまれてきました。ただし開花期間はとても短く、1〜2週間ほどで散ってしまいます。だからこそ、香ってきた瞬間に「今年も秋が来た」と感じる方が多いのだと思います。
三大香木のひとつ
日本には香りの強い花木として名高い「三大香木」という言葉があります。
- ジンチョウゲ(沈丁花)……春(2〜3月)
- クチナシ(梔子)……初夏(6月)
- キンモクセイ(金木犀)……秋(9〜10月)
それぞれ違う季節に香ることで、一年を通して季節の変わり目を香りで教えてくれるという並びです。キンモクセイはその中でも、秋を代表する存在として選ばれています。
花言葉には「謙虚」「気高い人」などがあります。小さな花が集まって、控えめながらも強い存在感を放つ姿から来ていると言われています。
中国・台湾で親しまれる「桂花茶」
日本ではあまり知られていませんが、キンモクセイの花は中国・台湾で「桂花(グイファ)」と呼ばれ、古くからお茶にされてきました。
「桂花」と「キンモクセイ」は同じ植物です
中国語で桂花(guìhuā)と呼ばれる花が、日本語のキンモクセイにあたります。桂花茶(けいかちゃ)は、この花を使ったお茶という意味です。
作り方は単純で、摘んだ花を乾燥させるだけ。それを単体で淹れたり、烏龍茶や紅茶にブレンドしたりして楽しみます。
味と香り
花そのものの味はごくわずかで、主役はやはり香りです。
湯を注ぐと、あのなじみ深い甘い香りがふわっと立ちのぼります。庭先で感じるのと同じ香りが、カップの中から香ってくる感覚です。
キンモクセイのお茶が向いている方
- 秋の香りを長く楽しみたい方(開花期間はすぐ終わってしまうので)
- 甘い香りの紅茶や烏龍茶が好きな方
- 見た目にも季節感のあるお茶を探している方
烏龍茶とのブレンドが定番
キンモクセイ単体でも飲めますが、烏龍茶とのブレンドが本場の定番です。
- 烏龍茶の茶葉に、乾燥キンモクセイの花を少量加える
- 熱湯を注いで3分ほど蒸らす
烏龍茶の香ばしさに、キンモクセイの甘い香りが重なります。台湾のお茶屋さんでは「桂花烏龍」として定番の組み合わせになっています。
紅茶と合わせても、華やかな香りづけになります。
銀木犀・柊木犀との違い
キンモクセイには近い仲間がいます。混同しやすいので整理しておきます。
キンモクセイ(金木犀)……花は橙色。香りが最も強い
ギンモクセイ(銀木犀)……花は白〜淡黄色。香りはキンモクセイよりやや控えめ
ヒイラギモクセイ(柊木犀)……葉のふちにトゲがある。キンモクセイとヒイラギの交配種とされる
お茶にできるのはどれも同じモクセイ属ですが、お茶として一般的に使われるのは香りの強いキンモクセイです。庭木として植えられているものの多くもキンモクセイなので、まず間違えることは少ないと思います。
花の集め方
自宅にキンモクセイの木がある方は、自分で作ることもできます。
① 摘む
・咲き始めの、色の鮮やかな花を選ぶ
・木の下に布を敷いて枝を軽く揺すると、たくさん集められる
② 汚れを落とす
・虫や枯れ葉が混ざりやすいので、丁寧に選別する
・軽く水で洗い、水気を切る
③ 乾燥させる
・風通しのよい日陰に広げて数日
・小さい花なので早く乾く
④ 保存
・密閉容器に入れて涼しい場所へ
開花期間が短いので、集めるならタイミングを逃さないことが肝心です。香ってきたら数日以内に、が目安です。
美城の畑のキンモクセイ
長野県飯田市山本のケーキとビストロ美城(みき)では、敷地内の畑でキンモクセイも育てています。
マロウブルーやカレンデュラ、レモンバーベナなど、20種類以上のハーブと並んで植えられている一本です。
畑の様子は自家栽培ハーブティーは何が違う?長野・美城のハーブ畑からで写真つきでご紹介しています。秋にお店を訪れる機会があれば、敷地内で香りを探してみるのも楽しいかもしれません。
飲むときに気をつけたいこと
こんな方はご注意ください
モクセイ科の植物にアレルギーのある方はお控えください。
また妊娠中・授乳中の方、持病のある方、お薬を飲んでいる方は、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。ハーブティーは食品であり、医薬品ではありません。
まとめ
- キンモクセイの花はお茶にできる。中国・台湾では「桂花茶」として定番
- 学名の意味はそのまま「香る花」
- 味より香りが主役のお茶
- 烏龍茶とのブレンドが本場の楽しみ方
- 開花期間は1〜2週間ほどと短いので、集めるなら香ってきたらすぐに
香りだけで通り過ぎていた花が、実はカップの中でも楽しめる。今年の秋は、庭のキンモクセイを少しだけ手に取ってみてはいかがでしょうか。
ほかのハーブはハーブの種類・名前一覧図鑑から探せます。花のハーブではマロウブルーもおすすめです。



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