ハーブティーの世界には「レモン」と名のつくものが3つあります。
レモングラス、レモンバーム、レモンバーベナ。
どれもレモンのような香りがしますが、中身はまったく別の植物です。そして香りの強さも、味も、驚くほど違います。
先に結論
3つのうちいちばん香りが強いのがレモンバーベナ。
和名を「香水木(コウスイボク)」というほどで、乾燥させても香りが落ちにくいのが特徴です。
レモンバーベナはどんな植物?
- 学名:Aloysia citrodora(Aloysia triphylla とも)
- 科名・属名:クマツヅラ科イワダレソウ属
- 和名:コウスイボク(香水木)/ボウシュウボク(防臭木)
- 別名:ベルベーヌ(フランス語)
- 原産地:アルゼンチン、チリ、ペルー
- 分類:落葉低木(木になります)
- 樹高:1〜3m
- 使う部分:葉
注目していただきたいのが「落葉低木」という点です。
レモングラスもレモンバームも草ですが、レモンバーベナは木です。育てると1〜3mまで伸びます。冬には葉を落とし、春にまた芽吹きます。
原産は南米。17世紀にスペイン人がヨーロッパへ持ち帰り、そこから世界へ広まりました。フランスではベルベーヌと呼ばれ、食後のお茶として親しまれています。

和名「香水木」の由来
日本ではコウスイボク(香水木)と呼ばれます。
その名の通り、葉から採れる精油が香水の原料として使われてきたのが由来です。香水だけでなく、石けんや化粧品の香料にも用いられてきました。
もうひとつの和名ボウシュウボク(防臭木)も、香りの強さを物語っています。
葉を一枚指でこするだけで、手にしばらく香りが残ります。ハーブ畑でレモンバーベナの前を通ると、触れていなくても香ってくることがあるほどです。
「レモン」3種の違い
いちばん多いご質問がこれです。表にまとめました。
レモンバーベナ
- クマツヅラ科/南米原産/落葉低木
- 香りの強さ:強い
- 香りの質:レモンキャンディのような、甘くはっきりした香り
- 乾燥させても香りが落ちにくい
レモングラス
- イネ科/熱帯アジア原産/多年草
- 香りの強さ:中〜強
- 香りの質:レモンの皮に近い、すっきりした香り
- 見た目は細長い葉(ススキのよう)
レモンバーム
- シソ科/ヨーロッパ原産/多年草
- 香りの強さ:穏やか
- 香りの質:やさしく青々しい
- 乾燥させると香りが飛びやすい
香りの強さで並べると、レモンバーベナ > レモングラス > レモンバーム の順です。
初めての方が「レモン系のハーブティー」を想像して飲むと、レモンバーベナは思ったより香りが強いと感じるかもしれません。それだけ存在感があります。
味は、香りほど強くない
ここがレモンバーベナの面白いところです。
香りは強いのに、味はあっさりしています。
酸味はほとんどなく、後味も軽い。「レモン」と聞いて酸っぱさを想像すると、拍子抜けするかもしれません。
つまりレモンバーベナは、飲むというより「香りを吸い込む」お茶です。カップを口に近づけた瞬間がいちばんの見せ場になります。
淹れ方:香りを飛ばさないために
- ティーポットに乾燥葉ティースプーン1杯
- 熱湯を注ぐ
- ふたをして3分蒸らす
ふたをすることがいちばん大事です。
香りの成分は湯気と一緒に逃げていきます。ふたをしないと、いちばん飲んでほしい香りが部屋に散ってしまいます。ふたを開けた瞬間に立ちのぼる香りを、そのまま吸い込んでください。
蒸らしすぎると渋みが出るので、3分を目安に。長く置けばおいしくなるお茶ではありません。
生の葉でも飲めます
育てている方は、ぜひ生の葉で試してみてください。
- 生の葉を3〜4枚、軽く手のひらで叩く
- カップに入れて熱湯を注ぐ
- 2〜3分で完成
叩くのは、香りの成分を出すためです。ちぎるより、軽く叩くほうが香りが立ちます。
乾燥葉より生の葉のほうが、青々しくフレッシュな香りになります。
育てるときのポイント
木なので、鉢でも地植えでも育てられます。
- 日当たり……よく日に当てる。日照不足だと香りが弱くなる
- 水……乾燥に弱い。夏はしっかり与える
- 土……水はけのよい土を好む
- 寒さ……寒さに弱い。霜に当たると傷むので、寒冷地では鉢で育てて冬は室内へ
冬に葉を落としても枯れたわけではありません。落葉低木なので、春になればまた芽吹きます。慌てて処分しないでください。
花は8〜9月に、うすい紫か白の小さなものが咲きます。ハーブとしては葉が主役なので、花は控えめです。
美城の畑のレモンバーベナ
長野県飯田市山本のケーキとビストロ美城(みき)では、敷地内の畑でレモンバーベナを育てています。摘んで乾燥させたものをブレンドティーに使っています。
このブレンドはレモングラスとレモンバーベナが同時に入っています。上で書いた通り、この2つは香りの質が違うので、重なるとレモンの香りに奥行きが出ます。そこにヨモギの青さとミントの清涼感が加わる構成です。
「レモン系が2種類入っている」という視点で飲むと、香りの層が感じ取りやすくなると思います。
畑の様子は自家栽培ハーブティーは何が違う?長野・美城のハーブ畑からで写真つきでご紹介しています。
保存の仕方
香りが身上のハーブなので、保存には気をつけたいところです。
- 密閉容器に入れる(香りが逃げるのを防ぐ)
- 直射日光を避け、涼しい場所へ
- 買ったら早めに飲みきる
レモンバーベナは乾燥後も香りが落ちにくいほうですが、それでも開封してから時間が経つと弱まります。大袋で買うより、飲みきれる量を選ぶほうが結果的に満足度が高いです。
飲むときに気をつけたいこと
こんな方はご注意ください
香りが強いハーブなので、香りに敏感な方は少量からお試しください。
また妊娠中・授乳中の方、持病のある方、お薬を飲んでいる方は、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。ハーブティーは食品であり、医薬品ではありません。
まとめ
- レモン系3種でいちばん香りが強いのがレモンバーベナ
- 和名は香水木。精油が香水の原料に使われてきた
- 草ではなく木(落葉低木)。冬に葉を落としても枯れていない
- 香りは強いが味はあっさり。飲むより香りを楽しむお茶
- 淹れるときは必ずふたをする
香りで選ぶなら、レモン系ではこれがいちばんです。ふたを開けた瞬間のために淹れる、といっても言い過ぎではありません。
ほかのレモン系はレモングラス、レモンバームの記事をどうぞ。ハーブ全体はハーブの種類・名前一覧図鑑から探せます。



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