自家栽培ハーブティーは何が違う?長野・美城のハーブ畑から

自家栽培ハーブティーは何が違う?長野・美城のハーブ園から ハーブのお店

「ハーブティーって、結局どれも同じような味では?」

そんなふうに聞かれることが、ときどきあります。ティーバッグを開けて、お湯を注いで、なんとなく体に良さそうな気がして飲む。そこで終わってしまっている方は、たしかに多いのかもしれません。

でも、ハーブティーの味は、飲む前の段階でほとんど決まっています

今回は、それがはっきり分かる場所をご紹介します。

長野県飯田市。中央道の飯田インターから車で10分ほど走った山あいに、ケーキとビストロのお店「美城(みき)」があります。そのお店の敷地には、20種類以上のハーブが育つ畑があるのです。

美城のハーブ畑。まっすぐに整えられた畝が続く

この記事では、そのハーブ畑で実際に育っているハーブを写真とともにご紹介しながら、自家栽培のハーブティーは市販のものと何が違うのかを、じっくりお話ししていきます。

お待たせしました。ハーブティーいろは、再開します

まずはご挨拶をさせてください。

このブログ「ハーブティーいろは」では、ハーブの効能や育て方、ハーブティーの作り方を、ハーブコーディネーターとして学んだ知識と、実際に育てたり、お店に足を運んだりして確かめたことをもとにお伝えしてきました。気づけば140本を超える記事が積み上がっています。

その一方で、しばらく更新が止まっていました。読みに来てくださっていた方には、ご心配をおかけしたと思います。今日から、また書いていきます。

再開のきっかけが、まさに冒頭のハーブ畑です。

これまでも、育てる・淹れる・飲むところまではお伝えしてきました。ここに「20種類以上のハーブを本気で育てている畑」という現場が加わります。土づくりから収穫、ブレンドまで、プロが年間を通してどう向き合っているのか。そこを写真つきでお届けできるようになりました。

もう少し詳しい自己紹介は、追い追い。まずは、あの畑の話をさせてください。

ケーキとビストロのお店に、なぜハーブ畑があるのか

美城は、いわゆるハーブ専門店ではありません。ランチとディナーのコース料理を出すビストロであり、ケーキ屋さんでもあります。

そのお店が、なぜ自分たちで畑を持ってハーブを育てているのか。理由はシンプルで、料理にも、ケーキにも、ハーブティーにも、自分の畑のものを使いたいからです。

料理に添えるフレッシュハーブは、摘んですぐが一番香ります。ケーキに使うミントも、朝採ったものと、流通に何日かかかったものでは、立ち上る香りがまるで違う。その差を出すために畑を持っている、というわけです。

そして、その畑で採れたハーブが、そのままハーブティーにもなっています。

手入れされた畑を見ると、味の想像がつく

冒頭の写真をもう一度見てください。畝がまっすぐに整えられ、株と株の間隔がそろっていて、雑草がほとんどありません。

地味な話に聞こえるかもしれませんが、ハーブの味を左右するのは、この地味な部分です。

  • 株間が確保されている……風通しが良く、蒸れによる傷みや病気が出にくい
  • 雑草が少ない……水分と養分がハーブにきちんと回る
  • 畝が整っている……水はけが安定し、根が健康に育つ

ハーブは丈夫な植物が多いので、正直なところ、放っておいてもそれなりに育ちます。ただ、そこで採れる葉と、手をかけた畑の葉では、香りの濃さがまったく違います

そして収穫のタイミングも、味を大きく左右します。カモミールなら花が開いてからの数日が勝負で、遅れると香りが落ちてしまう。このあたりは以前くわしく書いたので、育てている方はカモミールの収穫時期と方法もあわせてどうぞ。

美城のハーブ畑で育つハーブたち

ここからは、実際に畑で撮らせてもらった写真とともに、育っているハーブをご紹介します。どれもハーブティーでおなじみの顔ぶれです。

カモミール

美城のハーブ畑に咲くジャーマンカモミール

一面に咲いていたのがカモミール。写真のように白い花びらと黄色い中心が特徴で、近づくと青りんごのような甘い香りがします。

ハーブティーとしてはもっとも有名な部類で、一日の終わりに気持ちを落ち着けたいときの一杯として、世界中で親しまれてきました。育て方から飲み方まで、いろはではカモミールのまとめ記事にひととおり書いています。

生の花が手に入ったら、ぜひフレッシュティーも試してみてください。乾燥とはまた違う、やわらかい香りが楽しめます。

ミント

畑いっぱいに広がるミント

こちらはミント。写真だと分かりづらいのですが、一角がまるごとミントに覆われていました。

ミントは地下茎でどんどん広がる性質があるので、畑では区画を決めて育てるのが鉄則です。地植えで油断すると、隣のハーブの領地まで侵食していきます。

すっきりした香りで、食後や気分を切り替えたいときによく選ばれます。ペパーミント・スペアミント・アップルミントで香りの方向性がかなり違うので、飲み比べると面白いハーブでもあります。詳しくはミントの種類別まとめへ。

レモンバーベナ

細長い葉が特徴のレモンバーベナ

細長い葉が対になって伸びているのがレモンバーベナ。葉を一枚こすると、レモンそのもののような、けれど酸っぱさのない澄んだ香りが立ちます。

初めて香りをかいだ人がいちばん驚くハーブかもしれません。単体でも飲めますが、ブレンドの「香りづけ役」として力を発揮するタイプです。

マロウ(ウスベニアオイ)

鮮やかな花を咲かせるマロウ

濃い紫がかったピンクの花はマロウ。ハーブティーの世界では「マロウブルー」の名前で知られていて、お湯を注ぐと青く、レモンを落とすとピンクに変わるという色変化が有名です。

味そのものは穏やかで、飲みやすい部類。見た目のインパクトがあるので、お客さまにお出しすると必ず話題になるハーブです。

カレンデュラ

オレンジ色が鮮やかなカレンデュラ

鮮やかなオレンジが目を引くカレンデュラ(キンセンカ)。花びらを乾燥させてハーブティーに使います。

こちらも味は控えめですが、乾燥させても色が褪せにくいので、ブレンドに入れると見た目がぐっと華やかになります。

ラベンダー

収穫したてのラベンダー

収穫したてのラベンダー。香りの強いハーブなので、ティーに使うときはほんの少しで充分です。

入れすぎると香水のような風味になってしまうため、ほかのハーブに少量そえるのが上手な使い方。おやすみ前のブレンドによく登場します。

ワイルドストロベリー

花と実をつけたワイルドストロベリー

小さな実と、かわいらしいピンクの花。ワイルドストロベリーです。

実を食べるイメージが強いかもしれませんが、ハーブティーで使うのは主に葉のほう。クセがなく、ほのかに甘い香りがするので、飲みやすいブレンドによく使われます。

ヨモギ

畑で育つヨモギ

日本人にはおなじみのヨモギ。「これもハーブ?」と思われるかもしれませんが、れっきとした和のハーブです。

草餅やお灸の印象が強いものの、お茶にすると香ばしく、ほうじ茶に近い親しみやすさがあります。日本の気候で元気に育つのも心強いところ。

キンモクセイ

夕日を受けて咲くキンモクセイ

番外編ですが、敷地内にはキンモクセイもあります。秋、どこからともなく漂ってくるあの香りです。

桂花茶(けいかちゃ)とは?

キンモクセイの花を乾燥させたお茶のこと。中国では古くから親しまれていて、烏龍茶や緑茶に少し混ぜると、一気に華やかな香りになります。

もうひとつの主役は、実は「水」

ハーブの話をしてきましたが、ここで大事なことをひとつ。

ハーブティーを構成しているものの99%以上は、水です。

つまり、水が変われば味は変わる。当たり前のようで、いちばん見落とされがちな事実だと思います。

美城では、敷地内の地下深くから汲み上げた自家源泉の天然水を、料理にもケーキにも使っています。南信州の山々に磨かれた水で、県外から来られたお客さまに「水が違う」と言われることがよくあるのだそうです。

ご家庭でハーブティーを淹れるときも、ここは少し意識してみてください。

  • カルキ臭が残っていると、繊細なハーブの香りは簡単に負けます
  • 浄水を使う、あるいは一度しっかり沸騰させてから少し置く
  • それだけで、同じ茶葉でも香りの立ち方が変わります

育てたハーブは、こうしてブレンドになる

美城では、育てたハーブをブレンドしてハーブティーにし、オンラインショップで全国に届けています。原材料の98%が自家栽培のハーブです。

面白いのは、畑で見たハーブが、そのままブレンドの中身になっていること。たとえば——

  • フラワーティー……マロウブルー、カモミール、レッドクローバー、ローズレッド、カレンデュラ
  • ポンポコタヌキ……マルベリーリーフ、レモングラス、レモンバーム、ワイルドストロベリー
  • やすらぎ……マロウブルー、ペパーミント、レモンバーム、ラベンダー
  • さらさらからだめぐり……ヨモギ、レモングラス、レモンバーベナ、ペパーミント

先ほど写真でご紹介したマロウ、カレンデュラ、カモミール、ワイルドストロベリー、ラベンダー、レモンバーベナ、ヨモギが、そのまま顔を出しているのが分かると思います。

育てている人が、そのままブレンドを考えているというのは、実はなかなか珍しいことです。畑の様子を知っていると、同じ一杯でも味わい方が変わってきます。

ブレンドは全部で20種類以上あります。

  • 1袋(ティーバッグ2個入り)300円から。まずは気になる1つを試せます
  • おまかせ5種類セット(10ティーバッグ)1,500円
  • おまかせ12種類セット(24ティーバッグ)3,600円・送料無料

どれが自分に合うか分からない、という方は12種類セットから始めるのがいちばん早いと思います。飲み比べてみると、好みがはっきり分かります。

🛒 美城のオンラインショップ

自家製ハーブティーを見てみる(mikiherb.buyshop.jp)

全国配送に対応しています。贈り物にも。

畑の季節ごとの様子や新作は、Instagramでも見られます。

お店で飲むなら、ティータイムがおすすめ

もし長野方面に行くご予定があるなら、ぜひお店で飲んでみてください。

美城では13時から16時半のティータイムに、20種類以上の自家栽培ハーブブレンドティーと、季節のデザートケーキを楽しめます。ハーブ畑を眺めながら飲む一杯は、やはり格別です。

近くには昼神温泉や、星空で知られる阿智村もあるので、観光の途中に立ち寄るのにもちょうどいい場所にあります。

美城(みき)

  • 住所:長野県飯田市山本6724-13
  • 電話:0265-54-2236(FAX共通)
  • 営業:お菓子販売 10:30〜/ランチ 11:30〜14:30/ティータイム 13:00〜16:30/ディナー 18:00〜21:00
  • 定休日:火曜・水曜
  • アクセス:中央道 飯田ICより約10分/駐車場あり
  • ランチ・ディナーは前日までのご予約制です
青空とハーブ畑

これから、いろはで書いていくこと

冒頭の問いに戻ります。自家栽培のハーブティーは、何が違うのか。

畑に立って改めて思ったのは、違いは「鮮度」よりも、もっと前の段階にあるということでした。

どんな土で育ち、どれくらいの間隔で植えられ、いつ摘まれたか。そこまで分かっているハーブは、飲む前から安心感がまるで違います

これからのハーブティーいろはでは、これまでどおりハーブの効能や育て方をお伝えしながら、実際の畑でどう育っているのかという視点を加えていきます。

  • 季節ごとのハーブ畑の様子
  • 育てる人の視点から見た、ハーブの扱い方
  • 季節や気分に合わせたブレンドの考え方
  • ハーブを使ったお菓子や料理のこと

久しぶりの更新にお付き合いいただき、ありがとうございました。またすぐに次の記事でお会いしましょう。

これから寒くなる季節に向けた一杯を探している方は、冬におすすめのハーブティー9選もどうぞ。

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