エルダーフラワーをはじめて飲んだ人の感想は、たいていこれです。
「え、マスカットの味がする」
ブドウは一切入っていないのに、そう感じます。花なのに、果実の香りがするのです。

この記事では、その香りの正体と、コーディアルの作り方、気をつけたいことをまとめました。
先に結論
香りはマスカットや洋なしのような果実の香り。味はやさしく、クセは少なめ。
ヨーロッパではコーディアル(シロップ)にして飲むのが定番です。
ただし生の実や葉・茎は食べられません。使うのは花だけです。
エルダーフラワーとは
- 学名……Sambucus nigra
- 科・属……レンプクソウ科(旧スイカズラ科)ニワトコ属
- 和名……セイヨウニワトコ
- 原産……ヨーロッパ
- 使用部位……花
初夏に白い小さな花をたくさん咲かせる木です。ヨーロッパでは庭先や生け垣によくあり、「万能の薬箱」と呼ばれてきたほど身近な植物でした。

白い花なのに、なんでマスカットの香りがするの?

香りの成分がたまたま似ているんです。マスカットの香りを作っている成分と近いものが、この花にも含まれているんですよ。
どんな味・香りがするのか

左が生の花房。小さな白い花が集まって、平たい傘のような形になります。手前が乾燥させたものです。
味と香り
- 香り……マスカット、洋なし、白ワインにたとえられます
- 味……ほのかな甘みとやわらかい酸味。渋みは少ない
- 色……淡い黄色
- クセ……少なめ。ハーブティー初心者にも入りやすい
「花のお茶なのに、果物を飲んでいるみたい」——この意外さが、エルダーフラワーがずっと人気な理由だと思います。
甘い香りがするので甘い味を期待して飲むと、少し肩透かしかもしれません。あくまで香りが甘いのであって、砂糖のような甘さはありません。
淹れ方
基本の淹れ方(ティーバッグ1個・カップ1杯分)
1. カップにティーバッグを入れる
2. 熱湯を注ぐ
3. ふたをして3分置く
4. ティーバッグを引き上げる
ふたをしてください。このお茶は香りがすべてなので、湯気と一緒に逃がしてしまうともったいないです。お皿を1枚のせるだけでも違います。
合わせやすいもの
★コーディアル(シロップ)の作り方
ヨーロッパでいちばん親しまれている飲み方がコーディアルです。濃縮シロップを作っておいて、水や炭酸で割って飲みます。
材料(作りやすい分量)
- 乾燥エルダーフラワー……15g(生なら花房10房ほど)
- 水……500ml
- グラニュー糖……350g
- レモン……1個(薄切り)
作り方
1. 鍋に水と砂糖を入れ、砂糖が溶けるまで温める(沸騰させない)
2. 火を止めてエルダーフラワーとレモンを入れる
3. ふたをしてそのまま冷ます
4. 冷蔵庫でひと晩おく
5. こして、清潔な瓶へ
沸騰させないのがコツです。煮立てると、いちばんの魅力である香りが飛んでしまいます。
飲み方
- 炭酸水で4〜5倍に割る……いちばんおすすめ。夏にぴったり
- お湯で割る……寒い日に
- ヨーグルトやかき氷にかける
保存は冷蔵で2〜3週間が目安です。砂糖の量を減らすと日持ちしないので、少なめにしたときは早めに使い切ってください。
気をつけたいこと:使うのは「花」だけ
これは知っておいてほしい点です。
生の実・葉・茎は食べないでください
エルダーの生の実や葉、茎には、おなかを壊す原因になる成分が含まれています。実(エルダーベリー)は加熱すればジャムやシロップにできますが、生では食べません。
ハーブティーに使うのは花です。市販の乾燥エルダーフラワーはこの部分だけなので、心配は要りません。
こんな方はご注意ください
妊娠中・授乳中の方、持病のある方、お薬を飲んでいる方は、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。
ハーブティーは食品であり、医薬品ではありません。
日本でも育てられる?
「エルダーフラワー 育て方」で調べる方も多いので、触れておきます。
育てられます。ただし、いくつか知っておいたほうがいいことがあります。
育てるときのポイント
- 日当たり……日向〜半日陰。日本の夏の強い西日は苦手です
- 水……乾燥に弱いので、鉢植えなら水切れに注意
- 大きさ……放っておくと3〜5mの木になります。庭に植えるなら場所をよく考えて
- 剪定……冬に切って高さを抑えます
- 花が咲くまで……苗から2〜3年かかることが多いです
いちばんの注意点は「大きくなること」です。ハーブというより樹木だと思ってください。ミントのように鉢で気軽に、というわけにはいきません。
日本のニワトコとは別の種です
日本にもニワトコ(Sambucus racemosa var. miquelii)が自生していますが、セイヨウニワトコとは別の種です。山で見かけたニワトコを同じように使うのはやめておいたほうが無難です。
花が咲いたら、晴れた日の午前中に、花房ごと切って収穫します。香りがいちばん強い時間帯です。
美城のブレンドでは
長野県飯田市山本のケーキとビストロ美城(みき)のブレンドティーにも、エルダーフラワーが使われています。
⑯ お疲れリセット!元気充電ブレンド
原材料:レモンバーム(長野県飯田産)/ローズマリー(長野県飯田産)/ハイビスカス(エジプト産)/エルダーフラワー(ウクライナ産)
1袋(ティーバッグ2個入り)300円。
※妊娠中の方にはあまりおすすめできません。
構成がよくできていて、ハイビスカスの酸味にエルダーフラワーの果実の香りが重なるので、フルーツティーのような飲み口になります。
ハイビスカス単体は香りがほとんどなく酸味だけが立つお茶なので、そこに香りを足す相手としてエルダーフラワーはよく効いています。そこへレモンバームとローズマリーの清涼感が加わる——という組み立てです。
なおエルダーフラワーはウクライナ産です。美城が自家栽培しているのはレモンバームやローズマリーなどで、畑の様子は自家栽培ハーブティーは何が違う?長野・美城のハーブ畑からでご紹介しています。
まとめ
- エルダーフラワー=セイヨウニワトコの白い花
- 香りはマスカット・洋なし。花なのに果実の香りがする
- 味はやさしく、クセが少ない。初心者にも向く
- ふたをして3分。香りを逃がさないこと
- コーディアルにすると、炭酸割りで一年中楽しめる。沸騰させないのがコツ
- 生の実・葉・茎は食べない。使うのは花だけ
- 美城では⑯に使われている
香りで驚かせてくれるハーブは、そう多くありません。「花なのにマスカット」——この体験は、一度味わってみる価値があると思います。
ほかのハーブについてはハーブの種類・名前一覧図鑑にまとめています。



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