ラベンダーのハーブティーを、はじめて飲んだ人の感想は、だいたい二つに分かれます。
「いい香り」か、「石けんの味がする」か。
この差は、好みの問題ではありません。ほとんどの場合、入れすぎているだけです。

この記事では、ラベンダーの香りの特徴と、失敗しない適量、種類の違いまでまとめました。
ラベンダーとは
- 学名……Lavandula angustifolia
- 科・属……シソ科ラベンダー属
- 和名・別名……コモンラベンダー/イングリッシュラベンダー
- 分類……小低木(常緑)
- 使用部位……花
草丈は60cmほど。地面に近いところから枝分かれして、こんもりと半球状になります。
多くの人が「ラベンダーの花」だと思っている紫の部分は、正確には萼(がく)を含む穂の部分。開花前の蕾の時期から、すでに観賞の対象になります。
名前の由来は「洗う」
属名の Lavandula は、ラテン語の lavo(洗う)に由来すると言われています。
古代ローマの人々が、入浴や洗濯にラベンダーを使っていたからです。お風呂に浮かべて香らせる、という使い方は2000年前から変わっていないわけですね。

え?そうなの!?ランドリーの語源と一緒?

そのとおりです。同じラテン語から来ていますよ。ラベンダーは昔から「洗う」ものと結びついたハーブなんです。
どんな香り・味がするのか
香りは説明するまでもないほど有名ですが、お茶にしたときの味は意外と知られていません。
味そのものは、実はほとんどありません。あるのは香りと、わずかな苦味。
そしてこの香りが、とにかく強いのです。
「石けんの味」の正体
ラベンダーは香りの成分が非常に多いハーブです。他のハーブと同じ感覚でティースプーン1杯入れると、香りが濃すぎて飲み物というより香水を口にしたような感覚になります。おいしくないのではなく、量が多すぎるだけです。
こんなときに飲まれてきました
古代エジプトの時代から使われ、古代ローマでは入浴と洗濯に。1〜2世紀の医師ディオスコリデスは、消化不良や痛み、傷、やけど、皮膚の不調に用いることを書き残しています。
中世ヨーロッパで蒸留の技術が広まると、精油が重んじられるようになりました。
- 一日の終わりに……香りで気持ちを切り替えたいとき
- 眠る前のひととき……夜のブレンドに古くから使われてきました
- 気持ちがざわつくとき……落ち着きたい場面で選ばれてきました
大切なお断り
ここで紹介しているのは、歴史的にどう使われてきたかという話です。ハーブティーは食品であって、お薬ではありません。体調に不安があるときは、医師や薬剤師にご相談ください。
おいしい淹れ方(ここが最重要)
- 茶葉の量……ティースプーン1/3〜1/2杯(他のハーブの半分以下)
- お湯の温度……熱湯(95〜100℃)
- 蒸らし時間……2〜3分(長く置きすぎない)
- フタ……する
とにかく「少なく、短く」。
これがラベンダーの鉄則です。
他のハーブなら「もう少し入れようかな」で失敗しませんが、ラベンダーは入れすぎるとほぼ確実に飲みにくくなります。
- まずひとつまみから始める
- 薄いと感じたら次回少し増やす。この方向で調整する
- 単体で飲むより、他のハーブに少量そえるほうが失敗しない
何と合わせる?ブレンドのコツ
ラベンダーは完全に脇役として使うのが正解です。全体の1〜2割で充分に存在感が出ます。
- カモミールと……夜のブレンドの王道。どちらも穏やかで相性が良い
- ペパーミントと……ミントの清涼感にラベンダーの香りが重なり、奥行きが出ます
- レモンバームと……香りの方向が近く、けんかしません
- ローズと……華やかさが増し、見た目も香りも贈り物向きに
種類の違い(真正ラベンダーとラバンジン)
ラベンダーには複数の系統があり、香りも用途も違います。
- 真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)……いわゆる「ラベンダーの中のラベンダー」。香りがやわらかく繊細。ハーブティーに使われるのは主にこれ
- スパイクラベンダー(L. latifolia)……シャープでカンファー(樟脳)のような香り
- ラバンジン(L. × intermedia)……上の2種の交雑種。丈夫で精油がよく採れるため、世界の精油生産の約75%を占めます。香りは真正より刺激的
北海道・富良野の畑で栽培されているのも、多くはこの系統の使い分けによるものです。

ラベンダーって一種類じゃなかったんだ。買うときはどれを選べばいいの?

お茶にするなら真正ラベンダー、と覚えておけば充分です。商品に「アングスティフォリア」と書いてあれば、それが真正ラベンダーですよ。
家で育てられる?
育てられます。ただし日本の夏が最大の関門です。
真正ラベンダーは暑さと蒸れに弱い性質があります。
- 日当たり……よく当てる。香りの成分は光合成でつくられます
- 水はけ……株元を乾かし気味に。じめじめすると根や茎の病気が出ます
- 剪定……花が咲き終わった頃に毎年。梅雨明けの蒸れ防止も兼ねます
- 寿命……5〜6年で土壌の病気が出やすくなるため、株の更新を考えます
「枯らしてしまった」という声が多いハーブですが、原因はたいてい水のやりすぎと蒸れです。乾燥地の植物だと考えて扱うとうまくいきます。
飲むときの注意点
気をつけたい方
食品として一般的な量であれば穏やかですが、妊娠中・授乳中の方は念のため控えるか、事前にご相談ください。シソ科の植物にアレルギーのある方もご注意ください。
なお、精油(エッセンシャルオイル)は飲用しないでください。ハーブティー用の乾燥花とは別のものです。
美城のブレンドでは
長野県飯田市の美城(みき)のハーブ畑でも、ラベンダーが育てられています。冒頭の写真は、そこで収穫されたものです。
- やすらぎ……マロウブルー、ペパーミント、レモンバーム、ラベンダー
- 心身をリラックス……ローズレッド、スペアミント、ステビア、ラベンダー
どちらも4種類のうちの1つとして、控えめに配合されているのが分かります。まさに「少量そえる」というラベンダーの使い方どおりですね。
まとめ
- 学名の Lavandula はラテン語の「洗う」に由来する
- お茶にすると味はほぼなく、香りが主役
- ティースプーン1/3〜1/2杯。他のハーブの半分以下が適量
- 単体より他のハーブに少量そえるのが失敗しないコツ
- 育てるときは乾燥地の植物と考える。水のやりすぎと蒸れが大敵
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