花壇や道ばたで、細かく裂けた葉と、白い小さな花が平らにまとまって咲く草を見かけたことはありませんか。それがヤロウです。
ヤロウは、和名を「セイヨウノコギリソウ(西洋鋸草)」というハーブです。園芸店では「アキレア」の名前で並んでいることもあります。

この記事では、ヤロウの名前の由来と、日本のノコギリソウとの違い、育て方、ハーブティーにするときの注意をまとめました。
先に結論
ヤロウは、ヨーロッパ原産のキク科の多年草。和名はセイヨウノコギリソウです。
葉がノコギリの歯のように見えることから「ノコギリソウ」の名前がつきました。
日当たりと水はけのよい場所なら、放っておいても育つほど丈夫です。
ハーブティーは、12歳未満の子ども、妊娠中・授乳中の方、キク科アレルギーの方は避けてください(ヨーロッパの医薬品庁)。
ヤロウは、どんな植物?
- 学名……Achillea millefolium
- 科……キク科ノコギリソウ属(アキレア属)の多年草
- 原産地……ヨーロッパ。アジアや北アメリカにも分布する
- 大きさ……高さ60〜100cmほど
- 花……夏に、白や淡いピンクの小さな花がたくさん集まり、平らな形に咲く
- 葉……羽のように細かく裂け、裂けたところにさらに細かいギザギザがある
- 和名・別名……セイヨウノコギリソウ(西洋鋸草)、コモンヤロウ、アキレア
花の色が赤・黄・オレンジなどの園芸品種も多く、花壇や切り花、ドライフラワーにも使われます(辞典・NHK出版「みんなの趣味の園芸」より)。

どうして「ノコギリソウ」っていう名前なの?

細かく裂けた葉のふちのギザギザを、ノコギリの歯に見立てたからなんです。漢字では「鋸草」と書きますよ。
学名「アキレア」は、ギリシャの英雄から
ノコギリソウの仲間の学名「アキレア(Achillea)」は、ギリシャ神話の英雄アキレスから名づけられました。アキレスがセイヨウノコギリソウの薬効を見つけたという伝説にもとづくと言われています(辞典より)。
このお話から、7月12日の誕生花であるノコギリソウには「勇敢」「戦い」「治癒」という花言葉がついています(7月の誕生花の記事で紹介しています)。
ヨーロッパでは古くから、魔よけや恋占いにも使われてきた植物です(辞典より)。
★日本の「ノコギリソウ」との違い
日本には、もともと自生しているノコギリソウがあります。ヤロウ(セイヨウノコギリソウ)とは、同じ仲間の別の種類です。
- ノコギリソウ(日本に自生)……本州・北海道の山地の草原に生える。葉はくしの歯のように裂ける程度。花は白で、7〜9月に咲く
- セイヨウノコギリソウ(ヤロウ)……ヨーロッパ原産。葉は2〜3回、羽のように深く細かく裂ける。花は白や淡いピンク。花壇から逃げ出して、各地で野生化している
いちばんの見分けどころは葉です。ヤロウの葉は、まるで鳥の羽のように細かく裂けています(辞典より)。

道ばたで見かける白い花のノコギリソウは、ヨーロッパから来たヤロウかもしれないんだ!
★ヤロウの育て方
ヤロウは、丈夫で育てやすいハーブです(NHK出版「みんなの趣味の園芸」より)。
- 置き場所……日当たりがよく、やや乾き気味の場所。やせた土でも育つ
- 苦手なこと……高温多湿の蒸れ。水はけと風通しをよくする
- 水やり……庭植えはほとんど不要。鉢植えは、土が乾いたらたっぷりと
- 肥料……ほとんど不要。肥料が多いと倒れやすく、病気も出やすくなる
- 植えつけ・株分け……9月下旬〜11月、または3〜4月ごろ
- 花のあと……咲き終わった花を切り取る
育てるときのコツ
- 地下茎を伸ばして広がるので、植える場所の広さを考えておく
- 株の中心が枯れてきたら、春か秋に掘り上げて植え直す
- 長雨のころは、うどんこ病や灰色かび病に注意。混み合った茎葉は間引いて風通しよく
同じように地下茎で広がるハーブには、ミントもあります。

水も肥料もほとんどいらないなら、わたしにも育てられそう!
ヤロウのハーブティー
ハーブティーには、花の咲いている地上部(花・葉・茎)を干したものを使います。
淹れ方の目安(大人1杯分)
- 乾燥したヤロウ1.5gほどに、熱湯150〜250ml
- ふたをして5分ほど蒸らす
- 苦みがあるので、カモミールなどとブレンドすると飲みやすい
ヨーロッパの医薬品庁(EMA)は、ヤロウを「長く使われてきた実績にもとづくハーブ医薬品」として、一時的な食欲不振、おなかの張りなど軽い胃腸の不調、月経のときの軽いけいれんのような痛みに使うことなどをまとめています(EMAの資料)。
ただし、これは昔から使われてきたことにもとづくもので、臨床試験で効果が確かめられたという意味ではありません。日本では、ヤロウのハーブティーは食品で、医薬品のように国の審査で効果が認められたものではありません。感じ方には個人差があります。
★飲むときの注意
EMAの資料にもとづく注意
- キク科の植物(カモミール、ヨモギ、キクなど)にアレルギーのある方は使えません
- 12歳未満の子どもは、安全性を確かめた資料が足りないため、すすめられていません
- 妊娠中・授乳中は、安全性が確かめられていないため、すすめられていません
- 皮膚にかゆみなどのアレルギーが出たという報告があります
- 胃腸の不調が2週間、月経の痛みが1週間たってもよくならないとき、悪くなるときは、医師に相談する
- お薬を飲んでいる方、持病のある方は、飲む前に医師や薬剤師に相談してください
月経の痛みが強い、いつもと違うときは、ハーブで様子を見ずに婦人科を受診してください。
道ばたで摘んだものは飲まないでください。白い小さな花が平らに集まって咲く草はほかにもあり、毒のある草もあります。お茶にするなら、ハーブティー用として売られているものを使いましょう。

えっ、カモミールと同じキク科だから、キク科アレルギーの人は飲めないの!?

そうなんです。同じキク科のヨモギやカモミールで、かゆみや発疹が出たことがある方は避けてくださいね。大人がときどき楽しむ一杯にするのが安心です。
まとめ
- ヤロウはキク科ノコギリソウ属の多年草。和名はセイヨウノコギリソウ
- 名前は、葉のギザギザをノコギリの歯に見立てたもの。学名アキレアは英雄アキレスから
- 日本に自生するノコギリソウとは別の種類。ヤロウの葉は羽のように細かく裂ける
- 日当たり・水はけのよい場所で、水も肥料もほとんどいらない。地下茎で広がる
- ハーブティーは、12歳未満・妊娠中・授乳中・キク科アレルギーの方は避ける
細かな葉と白い小花が、花壇をやさしく彩るハーブ。育てやすいので、ハーブ栽培の最初の一株にもおすすめです。
ほかのハーブについてはハーブの種類・名前一覧図鑑にまとめています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


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