熱湯を注ぐと、澄んだ青。
しばらく置くと、青みが抜けて紫。そこへレモンをひとしぼり落とすと、今度は一瞬でピンクに変わります。
マロウブルーは、飲む前にひと仕事してくれるハーブティーです。

え?そうなの!? なんで色が変わるの?

花の色素が、液体の性質を見分けているんです。理科の実験と同じ仕組みですよ。
先に答えを書いておきます。
マロウブルーの色が変わる理由
花に含まれるアントシアニン系の色素が、注いだ液体の酸性・アルカリ性の度合い(pH)によって形を変えるため。
酸性に傾くとピンク、中性〜アルカリ性寄りだと青。時間が経つと空気に触れて紫へ。
この記事では、その仕組みと、「思ったような青が出ない」ときの原因をまとめます。
熱湯を注いだ瞬間から、色は動き出す
乾燥したマロウブルーの花は、濃い紫がかった青色をしています。ここに熱湯を注ぐと、数十秒で色が水に移り、透き通った青になります。
そのまま置いておくと、青は少しずつ紫へ寄っていきます。これは失敗ではありません。空気に含まれる酸素と反応して起きる自然な変化です。
つまりマロウブルーは、淹れてから飲み終わるまでの間に、勝手に色が移り変わっていくお茶ということになります。
色が変わる理由は「アントシアニン」
マロウブルー(和名:ウスベニアオイ)の花には、マルビジンやデルフィニジンと呼ばれるアントシアニン系の色素が含まれています。
アントシアニンには、まわりの液体が酸性かアルカリ性かによって、分子の構造が変わるという性質があります。構造が変われば、吸収する光の波長が変わります。吸収する光が変われば、目に届く色も変わります。
理科の授業で使うリトマス紙やBTB溶液と、原理は同じです。マロウブルーは飲めるpH指示薬だと思ってください。
酸を落とすとピンクになる
いちばん分かりやすいのがこれです。
やり方
- 淹れたマロウブルーのお茶をカップに注ぐ
- レモン汁を数滴落とす
- 落ちた場所からピンクが広がっていく
レモンのかわりにライム、グレープフルーツ、リンゴ酢でも同じことが起きます。酸であればいいので、量は数滴で十分です。入れすぎると酸味が勝ってしまうので、まずは2〜3滴から試してみてください。
この変化があまりに鮮やかなので、マロウブルーは「夜明けのハーブティー」と呼ばれることがあります。夜の青から、朝焼けのピンクへ移る様子になぞらえた呼び名です。
重曹を入れると水色に戻る
逆方向も試せます。ごく少量の重曹(食用のもの)を加えると、液性がアルカリ側に傾いて、明るい水色に変わります。
ただしこちらは味が変わってしまうので、飲むためというより、色の実験として楽しむものだと考えてください。お子さんと一緒にやると盛り上がります。
青がきれいに出ないときの3つの原因
「写真で見たような青にならない」という声をよく聞きます。原因はだいたい次の3つです。
原因1:お湯の温度が低い
色素が出るには熱が要ります。沸かしたての熱湯を使ってください。
保温ポットのお湯や、一度沸かして冷めかけたお湯だと、色の出方が弱くなります。95℃以上が目安です。
原因2:蒸らし時間が合っていない
短すぎると色が出きらず、長すぎると紫に寄っていきます。
- 青を楽しみたい……3分ほどで花を引き上げる
- 味をしっかり出したい……5分置く(紫寄りになる)
青い写真を撮りたいなら、淹れてすぐが勝負です。カップに注いだら、まず一枚撮ってからレモンを落とすと、変化の前後が残せます。
原因3:水の性質
これが見落とされがちです。
アントシアニンはpHで色を変えるので、使う水そのものの性質で仕上がりが変わります。同じ茶葉でも、水が違えば色が違うということです。
水道水は地域によって性質に幅があります。思った色にならないときは、別の水(浄水器を通したもの、市販の軟水など)で一度試してみると、違いがはっきり分かります。
マロウブルーはどんなハーブ?
- 学名:Malva sylvestris L.
- 科名:アオイ科ゼニアオイ属
- 和名:ウスベニアオイ(薄紅葵)
- 分類:二年草〜多年草
- 原産地:ヨーロッパ
- 使う部分:花
オクラやハイビスカス、そしてタチアオイと同じアオイ科の仲間です。夏に薄紅色から紫の花を咲かせ、その花を摘んで乾燥させたものがハーブティーになります。
味はごく穏やかで、香りも味もほとんど主張しません。とろみをわずかに感じる程度です。だからこそ、色を見るお茶として、またブレンドの土台として使われます。
ヨーロッパでは古くから、のどが気になるときのお茶として台所に置かれてきた歴史があります。
「マシュマロウ」とは別のハーブです
ここが混同しやすいところです。

マロウとマシュマロウって、同じものじゃないの?

名前は似ていますが、別のハーブです。同じアオイ科ですが、属が違いますし、使う部分も違うんですよ。
マロウブルー
- 学名 Malva sylvestris/アオイ科ゼニアオイ属
- 使うのは花
- 色が変わる
マシュマロウ
- 学名 Althaea officinalis/アオイ科ビロードアオイ属
- 使うのは根
- 色は変わらない
ちなみにお菓子のマシュマロは、このマシュマロウの根が語源です。かつては根から取れる粘り気のある成分でお菓子が作られていました。いまのマシュマロにマシュマロウは入っていません。
バタフライピーとの違い
色が変わるお茶といえば、もうひとつバタフライピーが有名です。どちらも青からピンクに変わりますが、中身は別ものです。
マロウブルー……アオイ科/ヨーロッパ原産/花を使う/色素はマルビジン・デルフィニジン
バタフライピー……マメ科/東南アジア原産/花を使う/色素はテルナチン
淹れたときの青も、マロウブルーはやや紫がかった澄んだ青、バタフライピーは深い濃紺と、印象が違います。飲み比べると分かりやすいので、両方そろえて並べてみるのもおすすめです。
バタフライピーの色遊びについては、バタフライピーのレシピとレモンでの色変化でくわしくご紹介しています。
美城の畑のマロウブルー

長野県飯田市山本のケーキとビストロ美城(みき)では、敷地内の畑でマロウブルーを育てています。摘んで乾燥させたものを、ブレンドティーの材料に使っています。
美城のブレンドでマロウブルーが入っているのは、次の4種類です。
- ⑨リラックスタイムを楽しむフラワーティー……マロウブルー、カモミール、レッドクローバー、ローズレッド、カレンデュラ
- ⑫輝く目に!きらきらひとみブレンド……レモンバーム、カレンデュラ、ハイビスカス、ローズマリー、マロウブルー
- ⑭ほっと一息 やすらぎブレンド……マロウブルー、ペパーミント、レモンバーム、ラベンダー
- ⑱のどをやさしくまもるブレンド……甜茶、カモミール、マロウブルー、ローズレッド
いずれもマロウブルーは長野県飯田産(自家栽培)です。
とくに⑨のフラワーティーは、マロウブルーとカレンデュラ、ローズレッドが入るので、カップの中が花畑のようになります。見た目が華やかなので、贈り物にも選ばれやすいブレンドです。
畑の様子は自家栽培ハーブティーは何が違う?長野・美城のハーブ畑からで写真つきでご紹介しています。
飲んでみた感想
⑭ ほっと一息 やすらぎブレンド
正直に言うと、私はラベンダーのハーブティーがちょっとだけ苦手なんです。香りが強いと感じてしまって。
でもこれは、マロウブルーの薄い青がきれいで、置いておくだけでも気分が良くて。
それで、飲まずに枕元のテーブルに置いて、香りだけ楽しみながら寝てみたんです。そうしたら、すごくよく眠れました。
ハーブティーって飲むものだと思っていたけど、こういう使い方もあるんだなと。
⑱ のどをやさしくまもるブレンド
これは本当に私にぴったりで、リピートしたくなりました。
甜茶が入っているので、砂糖を足していないのに甘みがあります。そこにカモミールの爽やかさと、ローズレッドのバラの香りが重なって、すごく飲みやすい。
ハーブティーは香りを楽しむものだと思っているんですが、これは香りも味も両方うれしいです。気分が素敵、っていう感じ。
感じ方には個人差があります。ハーブティーは食品であり、医薬品ではありません。
飲むときに気をつけたいこと
こんな方はご注意ください
アオイ科の植物にアレルギーのある方はお控えください。また妊娠中・授乳中の方、持病のある方、お薬を飲んでいる方は、事前にかかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。ハーブティーは食品であり、医薬品ではありません。
まとめ
- 色が変わるのはアントシアニン系色素が液体のpHで構造を変えるから
- 熱湯・3分・水選びの3つで、青の出方が決まる
- レモン数滴でピンク、重曹でうすい水色
- マシュマロウ(根を使う別のハーブ)とは違うもの
- 味も香りも穏やかなので、ブレンドの土台に向く
まずは何も入れずに青を眺めて、写真を一枚撮ってから、レモンを落としてみてください。同じカップで二度楽しめるのがマロウブルーの面白さです。
ほかのハーブも探してみたい方は、ハーブの種類・名前一覧図鑑からどうぞ。花のハーブではカモミールもあわせておすすめです。



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