ヨモギと聞いて、まず浮かぶのは草餅の緑色ではないでしょうか。
春に道ばたで摘んで、餅に混ぜる。あるいはお灸の「もぐさ」。日本人にとってヨモギは、ハーブというより身近な野草です。
そのヨモギを、お茶にするとどうなるのか。
先に結論
ヨモギ茶は草餅の味はしません。
青々しい香りと、すっきりした後味。緑茶に近い感覚で飲めるお茶です。
草餅のあの味は、餅と砂糖があってこそ。ヨモギ単体の味は、思っているよりずっとあっさりしています。
ヨモギはどんな植物?
- 学名:Artemisia indica var. maximowiczii
- 科名・属名:キク科ヨモギ属(アルテミシア属)
- 和名・別名:ヨモギ(蓬)、モチグサ(餅草)、カイヨウ(艾葉)ほか
- 英名:Japanese mugwort、yomogi
- 分布:本州〜九州、小笠原/朝鮮半島
- 草丈:50〜100cm
- 分類:多年草
- 使う部分:葉
別名のモチグサ(餅草)が、そのまま用途を表しています。
名前の由来には諸説あって、「よく萌える草」とも「四方に広がる草」とも言われます。どちらも、放っておくとどんどん増えるヨモギの性質を言い当てています。
花が咲くのは9〜10月。ただしキク科なのに地味な花で、虫ではなく風で花粉を運ぶという珍しいタイプです。この性質が、後述するアレルギーの話につながります。

葉の裏の白い綿毛が「もぐさ」になる
ヨモギの葉を裏返すと、白い綿毛がびっしり生えています。

左が表、右が裏です。この色の差が、ヨモギを見分けるいちばんの目印になります。
この綿毛を集めて精製したものが、お灸に使う「もぐさ(艾)」です。漢字で書くと「艾」。ヨモギの別名カイヨウ(艾葉)も、ここから来ています。
ヨモギのいろいろな顔
- 葉……草餅、ヨモギ茶
- 葉裏の綿毛……もぐさ(お灸)
- 若葉……天ぷら、おひたし
- 乾燥葉……入浴剤
ひとつの植物でこれだけ使い道があるのは珍しいことです。
ヨモギ茶の味と香り
香り
乾燥させたヨモギに湯を注ぐと、草原のような青い香りが立ちます。
草餅の香りを想像していると、少し違うと感じるかもしれません。餅のあの甘い香りは、実は加熱と砂糖によるもの。ヨモギ本来の香りは、もっとまっすぐで青々しいものです。
味
味はすっきりしていて、クセが少なめです。
ほのかな苦みがありますが、後を引くほどではありません。ハーブティー特有の華やかさや酸味はなく、どちらかというと日本茶に近い落ち着いた味です。
ヨモギ茶が向いている方
- ハーブティーの香りが強すぎて苦手だった方
- 甘い香りのお茶より、すっきりした味が好きな方
- 食事と一緒に飲めるお茶を探している方
逆に、フルーティーで華やかなお茶を期待すると、物足りなく感じるかもしれません。地味だけど飽きない、というタイプのお茶です。
淹れ方
- ティーポットに乾燥ヨモギティースプーン1杯
- 熱湯を注ぐ
- 3〜5分蒸らす
蒸らしすぎると苦みが出やすいので、まずは3分から試してみてください。物足りなければ少しずつ延ばします。
冷やしてもおいしいのがヨモギ茶の良いところです。多めに淹れて冷蔵庫に入れておくと、麦茶のような感覚で飲めます。
緑茶と合わせると、ぐっと飲みやすくなる
ヨモギ単体だと青さが強いと感じる方には、緑茶とのブレンドをおすすめします。
緑茶のうま味がヨモギの青さを受け止めて、全体がまとまります。実際、日本で昔から飲まれてきたヨモギ茶の多くは、緑茶や玄米と合わせたものです。
合わせやすいもの
- 緑茶……いちばん相性がいい。うま味が青さを包む
- ほうじ茶……香ばしさが加わる
- 玄米……香ばしさと甘み
- ミント……さらにすっきりさせたいとき
いつ飲むのがいい?
ヨモギ茶にはカフェインが含まれていません。緑茶とブレンドしたものにはカフェインが入りますが、ヨモギ単体であればゼロです。
そのため時間を選ばずに飲めます。
- 朝……すっきりした味なので、目覚めの一杯にも
- 食事中・食後……クセが少ないので料理の邪魔をしない
- 夜……ノンカフェインなので、寝る前でも
とくに食事に合わせやすいのがヨモギ茶の強みです。花の香りが強いハーブティーは料理と一緒だと香りがぶつかりますが、ヨモギは日本茶に近い立ち位置なので、和食にも洋食にも合わせられます。
美城の畑のヨモギ
長野県飯田市山本のケーキとビストロ美城(みき)では、敷地内の畑でヨモギを育てています。摘んで乾燥させたものを、ブレンドティーに使っています。
美城のブレンドでヨモギが入っているのは、次の2種類です。
- ⑳よもぎの緑茶……緑茶(国産)、ヨモギ(長野県飯田産)
- ①さらさらからだめぐりブレンド……ヨモギ、レモングラス、レモンバーベナ、ブラックミント【ペパーミント】(すべて長野県飯田産)
⑳よもぎの緑茶は、まさに上で書いた「緑茶とのブレンド」です。ヨモギ茶を初めて飲む方には、こちらの方が入りやすいと思います。
ハーブティーが苦手な方や、年配の方へのお土産としても選ばれやすいお茶です。「ハーブティー」と言われると身構える方でも、「よもぎの緑茶」なら手が伸びます。
畑の様子は自家栽培ハーブティーは何が違う?長野・美城のハーブ畑からで写真つきでご紹介しています。
自分で摘むときの注意
ヨモギは道ばたにも生えているので、「摘んでお茶にしたい」と思う方もいるかもしれません。その場合は次の点にご注意ください。
野生のヨモギを摘むときは
・道路沿いや駐車場のそばは、排気ガスや除草剤の影響を受けている可能性があります
・他人の土地で勝手に摘まないこと
・似た植物との取り違えに注意。上の写真のように葉の裏が白いのが目印です
見分けに自信がないうちは、栽培されたものを買うのがいちばん確実です。
飲むときに気をつけたいこと
キク科アレルギーのある方はご注意ください
ヨモギはキク科の植物です。ブタクサ、カモミール、カレンデュラなど同じキク科でアレルギーが出たことのある方は、反応が出る場合があります。
とくにヨモギは秋の花粉症の原因植物のひとつとしても知られています。秋に鼻炎の症状が出る方は、念のため少量から試すか、事前に医師にご相談ください。
また妊娠中・授乳中の方、持病のある方、お薬を飲んでいる方は、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。ハーブティーは食品であり、医薬品ではありません。
まとめ
- ヨモギ茶に草餅の味はしない。青々しくてすっきりした味
- 葉裏の白い綿毛が「もぐさ」になる。葉の裏が白いのが見分けの目印
- 緑茶と合わせると格段に飲みやすくなる
- 冷やしてもおいしい
- キク科アレルギー・秋の花粉症のある方は注意
派手さはありませんが、毎日飲んでも飽きないお茶です。ハーブティーの香りが少し苦手という方にこそ、一度試していただきたい和のハーブです。
ほかの和のお茶ではミントを使った緑茶ブレンドもあります。同じキク科ではカモミールも定番です。ハーブ全体を探すならハーブの種類・名前一覧図鑑からどうぞ。



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