スーパーの野菜売り場には「パクチー」、スパイス売り場には「コリアンダー」。別のものだと思っていたという方も多いのではないでしょうか。
実は、どちらも同じ植物です。

この記事では、呼び名の違いと、葉・種・根の使い分けをまとめました。
先に結論
コリアンダーとパクチーは同じ植物(セリ科の一年草)です。
パクチーはタイ語、コリアンダーは英語、香菜(シャンツァイ)は中国語。和名はコエンドロです。
売り場では、生の葉を「パクチー」、乾燥した種を「コリアンダー(シード)」と呼び分けることが多く、葉と種では香りがまったく違います。
呼び名は国によって違うだけ
- パクチー……タイ語。日本ではエスニック料理とともにこの名前が広まった
- コリアンダー……英語。種をさす場合も多い
- 香菜(シャンツァイ)……中国語
- コエンドロ……和名。ポルトガル語の呼び名が由来と言われる
- 学名……Coriandrum sativum(セリ科)

同じ植物なのに、呼び方が4つもあったんだ!
日本では、江戸時代以前から「コエンドロ」の名で知られていましたが、広く食べられるようになったのは、エスニック料理が身近になってから。そのためタイ語の「パクチー」がいちばん通じる名前になっています。
英語の「シラントロ(cilantro)」とは?
英語で調べると、cilantro(シラントロ)という言葉も出てきます。
- アメリカ……葉をcilantro、種をcorianderと呼び分けることが多い
- イギリスなど……葉も種もまとめてcorianderと呼ぶことが多い
海外のレシピで「cilantro」とあれば、生のパクチーの葉のことだと考えてください。
★葉と種で、香りはまったく違う
同じ植物でも、使う部分によって香りがまるで違います。
部位ごとの違い
- 葉・茎(パクチー)……青く強い独特の香り。生で料理の仕上げに
- 種(コリアンダーシード)……甘く、オレンジのようなさわやかな香り。スパイスとしてカレーやピクルスに
- 根……葉よりも香りが濃い。タイ料理ではスープやたれに

えっ、パクチーが苦手でも、種なら平気かもしれないの!?

その可能性はあります。種は葉とは香りの系統が違い、カレー粉にもたいてい入っています。パクチーが苦手な方でも、知らずに口にしていることが多いんですよ。
ハーブとスパイスの呼び分けについては、ハーブとスパイスの違いでもご紹介しています。
売り場での見分け方
- 野菜売り場の「パクチー」「香菜」……生の葉と茎(根つきのことも)
- スパイス売り場の「コリアンダー」……乾燥した種(ホール)か、種をひいた粉(パウダー)
- 「コリアンダーリーフ」……葉を乾燥させたもの。生より香りはおだやか
レシピに「コリアンダー」とだけ書いてあるときは、スパイス(種)のことが多いので、分量や一緒に使う材料から判断してください。
コリアンダーシードの使い方
スパイスのコリアンダーは、ホール(粒のまま)とパウダー(粉)で売られています。
- ホール……フライパンで軽く乾煎りしてから、すりつぶすと香りが立つ。ピクルスの漬け汁にはそのまま入れる
- パウダー……カレーやひき肉料理、ドレッシングに少量ずつ
- 相性のよいもの……クミン、にんにく、しょうが、柑橘
乾煎りするのは、香りを引き出すためです。焦がすと苦くなるので、弱めの火で、香りが立ったらすぐ火を止めます。

いつものカレーに少し足すだけでも、香りが変わりそうだね。
葉の保存は
生のパクチーは傷みやすいので、湿らせたキッチンペーパーで根元を包み、袋に入れて冷蔵庫で立てて保存し、早めに使い切ります。刻んで冷凍しておく方法もあります。
パクチーが苦手な人がいるのはなぜ?
パクチーは、好きな人と苦手な人がはっきり分かれるハーブです。
- 「カメムシのようなにおい」……パクチーの香りには、カメムシのにおいと共通する成分(アルデヒド類)が含まれていると言われています
- 「せっけんのような味」……海外では、こう感じる人も多いと言われています
アメリカの遺伝子検査会社(23andMe)の研究者による調査(2012年、2万人以上が対象)では、においを感じるしくみに関わる遺伝子の近くの違いが、パクチーを「せっけんのような味」と感じるかどうかに関係していたと報告されています(論文)。
ただし、その関係は小さく、好き嫌いのすべてが遺伝子で決まるわけではありません。食べ慣れるうちに平気になったという人も多くいます。
苦手な方が試すなら
- 細かく刻んで、ほかの具材と混ぜる
- スープなどでさっと火を通すと、香りがやわらぐと言われています
- まずは種(コリアンダーシード)のスパイスから試す
家で育てることもできます
パクチーは種から育てやすいハーブです。秋にまくと、冬を越して春まで長く収穫でき、花が咲いたあとにはコリアンダーシードも採れます。
- 種まきは春と秋。長く収穫するなら秋(9月下旬〜10月)
- 根をいじられるのが苦手なので直まきに
- 花茎が伸びると葉がかたくなるので、その前によく摘む
種まきの時期や発芽のコツ、とう立ちへの対処はパクチーの育て方でくわしくご紹介しています。同じセリ科で育て方が似ているハーブに、ディルもあります。
食べるときの注意
パクチーはセリ科です。セリ科の植物(セロリ、ニンジンなど)にアレルギーのある方はお控えください。
まとめ
- コリアンダーとパクチーは同じ植物。香菜・コエンドロも同じ
- 売り場では生の葉=パクチー、乾燥の種=コリアンダーと呼び分けることが多い
- 英語のcilantroは、主にアメリカで葉のこと
- 葉は独特の青い香り、種は甘くオレンジのような香り
- 苦手な人がいるのは香りの成分のため。遺伝子が関係しているという研究もあるが、影響は小さい
パクチーが苦手でも、コリアンダーシードなら好きかもしれません。カレーの香りの中に、同じ植物が隠れています。
ほかのハーブについてはハーブの種類・名前一覧図鑑にまとめています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。



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