刺身の横に添えられた、小さな黄色い菊。あれは食べられるの?と迷ったことはありませんか。
答えは「食べられます」。食べるために育てられた食用菊です。

この記事では、食用菊の種類と、おいしいゆで方・食べ方をまとめました。
先に結論
食用菊は、観賞用の菊と同じ仲間ですが、苦みが少なく、花びらが大きくなるように改良された菊です。
代表は、紫の「もってのほか(延命楽)」、黄色の「阿房宮(あぼうきゅう)」、刺身に添える小菊。
食べるのは主に花びら。酢を入れたお湯でさっとゆでると、色がきれいに残ります。
食用菊とは
- 科……キク科(観賞用の菊と同じ仲間)
- 食べる部分……主に花びら
- 旬……秋(品種によって、10月下旬〜11月上旬ごろが最盛期)
- おもな産地……愛知県(小菊)、山形県、青森県、新潟県
菊の花びらを食べる習慣は、江戸時代以降に広まったとされています。松尾芭蕉も好んだと言われる、秋の味覚です。
ふつうの菊との違い

庭に咲いている菊と、何が違うの?

仲間としては同じです。ただ食用菊は、苦みが少なく、食べる花びらが大きくなるように品種改良されています。花びらが筒のように丸まっているので、しゃきしゃきした独特の食感があるんですよ。
庭や花屋さんの菊は、食べないでください。
観賞用の菊は苦みが強いうえ、食べることを前提にしていない農薬が使われていることがあります。食べるのは、「食用菊」として売られているものだけにしてください。
★食用菊の代表的な3種類
もってのほか(延命楽)……紫
- 色……薄い紫の大輪
- 産地……山形県。新潟県では「かきのもと」と呼ばれる
- 特徴……香り・味・食感ともに評価が高い
- 正式な名前……延命楽(えんめいらく)
「もってのほか」という変わった呼び名には、「菊の御紋を食べるとはもってのほか」、あるいは「もってのほか(思っていた以上に)おいしい」から、という説があります。
阿房宮(あぼうきゅう)……黄色
- 色……鮮やかな黄色。加熱しても色がきれいに残る
- 産地……青森県南部地方(八戸周辺、南部町など)
- 特徴……苦みが少なく、香りと甘みがある。花びらは長めで、食感はやわらかい
- 収穫……10月下旬から2週間ほどと短い
名前は、秦の始皇帝の宮殿の名前に由来すると言われています。花びらを蒸して板状に干した「干し菊(菊のり)」にもなり、こちらは一年じゅう使えます。
刺身に添える小菊……黄色
- 色……黄色の小さな花
- 産地……愛知県が中心
- 時期……一年を通して出回る
- 使い方……花びらだけでなく、花ごと飾りとして使うことが多い

刺身の菊は、ただの飾りだと思ってた!
刺身に添えられた小菊は、花びらをちぎって、しょうゆに散らして食べることができます。ほんのり菊の香りが移ります。
★食用菊のゆで方
いちばん基本の食べ方は、ゆでておひたしにすることです。
ゆで方の手順
1. 菊を洗い、ガク(根元の緑の部分)から花びらをはずす
2. 鍋にお湯を沸かし、酢を加える(目安は水1リットルに酢30〜50cc)
3. 沸騰したお湯に花びらを入れ、箸で上下を返しながら、再び沸騰するまでさっとゆでる
4. ざるにあげて冷水にさらし、水気をしぼる
酢を入れると、花びらの色が鮮やかに残ります。ゆですぎると食感が落ちるので、さっとがコツです。
食用菊の食べ方
- おひたし……しょうゆやだし入りしょうゆをかけて。山形の郷土料理
- 酢のもの・和えもの……きゅうりや青菜、きのこと合わせて
- 菊ごはん……ゆでた花びらを、炊きあがったごはんに混ぜる
- 天ぷら……花の形のまま揚げても
- 彩り……ちらし寿司やサラダに散らす
紫の「もってのほか」と黄色の「阿房宮」を混ぜると、色がとても華やかになります。
選び方
店頭で食用菊を選ぶときは、次の点を見てください。
- 花びらにハリがある……しおれていない、みずみずしいもの
- 色が鮮やか……紫や黄色がくすんでいないもの
- 花の中心まで開きすぎていない……開ききったものは傷みが早い
菊は日もちのしない食材です。買ったらその日か翌日のうちに、ゆでてしまうのがおすすめです。
家で育てることもできます
食用菊も、観賞用の菊と同じように育てられます。春に苗が出回ることがあり、プランターでも育ちます。
- 置き場所……日当たりと水はけのよい場所
- 花の時期……菊は日が短くなると花芽をつける性質があり、秋に咲く
- 夜も明るい場所(街灯の近くなど)では、花が咲きにくくなることがある

自分で育てた菊を摘んで食べられたら、うれしいね。
自分で育てるなら、食べる前提で、農薬の使い方に気をつけることが大切です。
保存のしかた
- 生のまま……乾燥しないように袋に入れて冷蔵庫へ。早めに使い切る
- ゆでたもの……水気をしぼって小分けにし、冷凍しておくと便利
- 干し菊(菊のり)……乾物として保存がきく。使うときはお湯でもどす
菊は、お茶にもなります
中国では、乾燥させた菊の花にお湯を注いだ「菊花茶(きっかちゃ)」が昔から飲まれています。
- 花の形のまま乾かした小ぶりの菊を使う
- 香りはすっきりとして、ほんのり甘い
- ほかのお茶とブレンドされることもある
「花を飲む」という点では、ハーブティーとよく似ています。秋の花のお茶なら、金木犀の花のお茶(桂花茶)もあります。
同じキク科で、お茶として親しまれている花にはカモミールやカレンデュラがあります。
食べるときに気をつけたいこと
こんな方はご注意ください
キク科の植物にアレルギーのある方(ブタクサ、ヨモギ、カモミールなど)は、食用菊もお控えください。
はじめて食べるときは少量から。体調に変化があったら、食べるのをやめてください。
まとめ
- 食用菊は苦みが少なく、花びらが大きくなるように改良された菊
- 代表はもってのほか(紫)・阿房宮(黄)・刺身の小菊
- 旬は秋。小菊は一年じゅう出回る
- ゆでるときは酢を加えて、さっと。色がきれいに残る
- 庭や花屋さんの菊は食べない
- 中国では、菊の花を菊花茶として飲む
刺身の小菊を見かけたら、花びらをしょうゆに散らしてみてください。いつもの刺身に、秋の香りが加わります。
ほかのハーブについてはハーブの種類・名前一覧図鑑にまとめています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


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