バジルは、ハーブのなかでもとくに育てやすい部類です。
それでも「葉が小さくなった」「黒い点が出た」「すぐ枯れた」とつまずく方は多いもの。原因は、たいてい花と気温にあります。

この記事では、バジルの育て方と、長く収穫するためのコツをまとめました。
先に結論
バジルは熱帯アジア・インド生まれ。暑さに強く、寒さにとても弱いハーブです。
植えつけは気温が十分に上がる5月ごろ。摘心をくり返して枝数を増やし、花芽は見つけしだい摘むのが、やわらかい葉を長く収穫するコツです。
バジルは、どんなハーブ?
- 学名……Ocimum basilicum
- 科……シソ科(メボウキ属)
- 和名……メボウキ(目箒)
- 原産……熱帯アジア・インド
- 草丈……30〜60cmほど
- 収穫期……6月下旬〜8月が中心
- 暑さ……強い/寒さ……とても弱い
和名の「メボウキ」は、水でふやかしたタネで目に入ったごみを取っていたことに由来すると言われています。名前だけ見ると意外ですが、イタリア料理でおなじみのあのバジルです。
ポイントは「熱帯生まれ」の一語に尽きます。日本の夏は得意、そのかわり秋の冷え込みで一気に弱る——この性質を頭に入れておくと、作業の理由がすべてつながります。

夏に元気なハーブって、めずらしいんだね。
同じシソ科でも、タイムやローズマリーは地中海生まれで、夏の蒸れが苦手です。バジルはその反対だと考えてください。
種まき・植えつけは「遅霜が終わってから」
バジルは寒さに弱いので、早く始めても育ちません。
- タネまき……4月中旬〜6月中旬。遅霜の心配がなくなってから
- 発芽に必要な温度……20〜30℃
- 覆土……1〜2mmとごく薄く(光に当たったほうが発芽しやすいタネです)
- 苗の植えつけ……気温が十分に上がる5月ごろ。本葉が5〜6枚になったら
- 株間……20〜40cm
タネを土で厚く覆うと、発芽しません。ばらまいて、土をごく薄くかけるだけにします。
置き場所・水やり・肥料
バジルが好きな場所
1. 日なた〜半日陰(真夏は明るい日陰でも育ちます)
2. 風通しがよい
3. 水はけがよい
水やりでつまずく方が、いちばん多いところです。
- 鉢植え……土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るくらいたっぷり
- 真夏……朝と夕方の2回。水を切らさないほうがやわらかい葉が採れます
- 肥料……本葉が10〜15枚になったら追肥し、その後は20〜30日おきに
バジルは水を好みますが、土が乾かないうちに足しつづけると根が傷みます。「表面が乾いたら、たっぷり」のリズムを守ってください。
★摘心(てきしん)をすると、収穫量が変わります
ここがバジル栽培のいちばんの山場です。
摘心のやり方
1. 本葉10〜15枚、または草丈20cmになったら
2. 先端から2節目くらい下を切る
3. 切ったところの下からわき芽が2本伸びてくる
4. 伸びたら、また同じように切る(3〜4回くり返す)
こうすると、1本の茎がどんどん枝分かれして、収穫できる葉の数が増えます。切り取った先端は、そのまま料理に使えます。
収穫は草丈30cmごろから。必要な分だけ、葉のつけ根を切るか、茎ごと切ります。このときわき芽(葉と茎のつけ根から出る芽)を残しておくと、そこからまた伸びて長く採れます。

下から葉をむしるのではなく、上を切る。これだけで株の形が変わりますよ。
摘心した枝は、水に挿すと根が出ます
摘心で切り取った枝を、捨てずに使う手があります。
水挿しでふやす
1. 10〜15cmほどの枝を用意する
2. 水に浸かる部分の葉を落とし、切り口を斜めに切る
3. コップの水に挿して、明るい室内へ
4. 毎日水をかえると、1〜2週間ほどで白い根が伸びてきます
5. 根が伸びたら土に植える
バジルは水を好むハーブなので、水挿しはとても成功しやすい部類です。摘心のたびに枝が出るので、1株買えば何株にもふやせます。

切った枝がそのまま次の株になるんだ。うれしい。
ちなみに、同じシソ科でもミントは水栽培に向いていません。同じ「水に挿す」でも、ハーブによって向き不向きがあります。
よく見かけるバジルの品種
売り場に並ぶバジルには、いくつか顔があります。
- スイートバジル……もっとも一般的。イタリア料理に使うのはこれ
- ダークオパール……葉が濃い赤紫。彩りに使われる
- レモンバジル……レモンのような香りがある
- シナモンバジル……甘い香りが特徴
- ホーリーバジル……和名カミメボウキ。スイートバジルとは別の種です
迷ったらスイートバジルで問題ありません。育て方の基本はどれも同じです。
★花が咲くと、葉がかたくなります
バジルは夏に白い小さな花を咲かせます。かわいいのですが、咲かせたままにすると葉がかたくなります。
タネをつくるほうに養分が回ってしまい、新しい葉も出にくくなるためです。
- 花芽を見つけたら、すぐ摘み取る
- 見のがして咲いてしまったら、その枝ごと切り戻す
- タネを採りたい株だけ、花を残しておく
タネを採る場合は、さやが完全に枯れるまで待ち、黒いタネが見えたら、さやから取り出して乾かします。
★葉が黒くなるのは「寒い」から
バジルでいちばん多い相談が、葉が黒くなるというものです。
原因の多くは低温障害です。熱帯生まれのバジルにとって、日本の秋の朝晩や冷蔵庫の中(およそ4〜6℃)は寒すぎます。細胞が傷むと、葉のなかの酵素がはたらいて、空気に触れた部分が黒く変色します。
- 屋外……気温が下がってきたら、鉢は室内の明るい窓辺へ
- 収穫した葉……冷蔵庫に入れない。コップの水に挿して室内に置くほうが長もちします
- 摘むとき……強くもんだり、こすったりしない(そこも黒くなります)
黒くなる悩みは、ミントの保存でもよく起こります。生の葉ならではの悩みで、からからに乾かしてしまえば色は変わりません。乾かし方はハーブの乾燥方法にまとめています。
病害虫と、秋のしまい方
- 立枯病……土が過湿になると出ます。水のやりすぎに注意
- ハダニ……乾燥しすぎると付きます。葉の裏に霧吹きを
- ヨトウムシ……葉が食べられていたら、株元の土も探してみてください
バジルは日本では一年草の扱いです。冬を越すのはかなり難しいので、晩秋、寒さが厳しくなる前に株を整理するのが一般的です。
最後に枝ごと刈り取って、葉を使いきってしまうのがおすすめです。使いきれない分は乾かすか、刻んでオイルに漬けておくと無駄になりません。保存の考え方はハーブの保存方法にまとめています。
ハーブティーにするときは
バジルは香りが強く、料理向きのハーブです。お茶にするならごく少量から試してください。ハーブティーは食品であり、医薬品ではありません。体調に不安のある方や妊娠中の方は、かかりつけの医師にご相談ください。
ほかのハーブも育ててみたい方へ
バジルは春に植えて夏に使いきるハーブです。一年じゅう緑がほしい方は、多年草のハーブを1鉢そえておくと楽しみが続きます。
- タイムの育て方……寒さに強く、水やりもほとんどいらない
- レモンバームの育て方……氷点下でも越冬する丈夫な多年草
- ミントを植えてはいけない理由……こちらは増えすぎるほうの悩み
- 初心者におすすめのハーブ……ベランダで始めるなら
ほかのハーブについてはハーブの種類・名前一覧図鑑にまとめています。
まとめ
- バジルはシソ科、熱帯アジア・インド生まれ。和名はメボウキ
- 暑さに強く、寒さにとても弱い。植えつけは気温の上がる5月ごろ
- タネは覆土1〜2mm。厚くかけると発芽しない
- 摘心を3〜4回くり返すと、枝が増えて収穫量が変わる
- 花芽は見つけしだい摘む。咲かせると葉がかたくなる
- 葉が黒くなるのは低温障害。冷蔵庫に入れず、水に挿して室内へ
- 日本では一年草。晩秋に株を整理して、使いきる
切って、摘んで、咲かせない。——バジルは、手を入れるほど応えてくれるハーブです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。



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