「桑の実 食べてはいけない」——検索すると、こんな言葉が出てきます。
でも、桑の実はジャムにもなる、昔から親しまれてきた木の実です。

この記事では、桑の実を食べるときに気をつけたいことと、桑の木の育て方をまとめました。
先に結論
黒紫色に熟した実は食べられます。
ただし熟していない青い実、白っぽくなった実、道路ぎわなど場所に不安がある木の実は口にしないこと。
桑の木はとても大きく、早く育つ木です。庭に植えるなら、そこを知ってからにしてください。
桑(クワ)は、どんな木?
- 科・属……クワ科クワ属(Morus)
- 分布……日本を含むアジア、南北アメリカなど
- 大きさ……10mほどになる木。栽培では3〜5mに抑えることが多い
- 主な種類……マグワ、ヤマグワ、レッドマルベリー、クロミグワなど
- 英名……マルベリー(mulberry)
カイコが食べる、あの桑の葉の木です。かつて養蚕がさかんだった地域では、今も道ばたや畑のまわりに桑の木が残っています。

散歩道にある木、もしかして桑の木だったのかな?
★「食べてはいけない」と言われる理由
桑の実に、熟した実そのものが危ないという話があるわけではありません。気をつけたいのは、次のようなケースです。
1. 熟していない青い実
赤くなる前の青い実は食べないでください。
熟していない実や、葉・枝から出る白い汁は、口にするとお腹をこわすことがあるとされています。味も酸っぱく、おいしいものではありません。
2. 白っぽくなった実
桑の実は「実菌核病(みきんかくびょう)」にかかることがあり、そうなった実は白色〜灰白色になります。
「白い実」には2種類あります
桑には、もともと白く熟す品種もあります。ただ、黒く熟すはずの木で一部の実だけが白っぽく変わっているなら、病気の実です。見分けに自信がないときは、黒紫色に熟した実だけを選ぶのが確実です。
3. 生えている場所
- 道路ぎわ……排気ガスやほこりがかかっている
- 公園や河川敷……薬剤がまかれていることがある
- 他人の土地の木……勝手に採ってはいけない
4. とても傷みやすい
熟した桑の実は水分が多く、皮がやわらかいので、摘んだそばから傷みはじめます。摘んだらその日のうちに食べるか、ジャムなどに加工するのが基本です。
食べる前にはよく洗って、虫がついていないかも確かめてください。

実の汁は濃い紫色で、服につくと落ちにくいですよ。摘むときは汚れてもいい服で。
熟した実の見分け方
食べごろのサイン
- 色……黒紫色(赤いうちはまだ早い)
- やわらかさ……指でつまむとやわらかい
- 取れやすさ……軽く触れるだけでぽろっと取れる
実は緑 → 赤 → 黒紫と色が変わります。収穫の時期は5〜7月ごろ。同じ枝でも熟すタイミングがずれるので、黒くなったものから少しずつ摘んでいきます。
桑の木を「庭に植えてはいけない」と言われる理由
食べる話と並んで、植える話でも「いけない」が出てきます。こちらは木の性質によるものです。
- 大きくなる……放っておくと10mほどの木になる
- 成長が早い……鉢植えでも、いずれ庭に下ろす必要が出てくるほど
- 実が落ちて汚れる……紫の汁で地面や車、洗濯物が汚れやすい
- 鳥が集まる……実を食べに鳥が来て、フンで種が運ばれる
- 毛虫がつく……アメリカシロヒトリなどの害虫がつくことがある
「植えてはいけない木」ではなく、「大きくなる前提で場所を選ぶ木」と考えるとよいと思います。ミントやオレガノの「植えてはいけない」と同じで、性質を知っていれば付き合える植物です。
桑の木の育て方
- 植えつけ……葉が落ちている11月〜4月中旬(真冬の厳しい時期は避ける)。鉢植えは芽が出る前の3月〜4月中旬
- 日当たり……よく日の当たる場所。日が足りないと実つきが悪くなる
- 水やり……花が咲くころから夏は乾燥に注意。冬は乾かし気味
- 肥料……2〜3月に緩効性の肥料、実のあとの6月にお礼肥
- 受粉……1本でも実がなる(別の木は必要ない)
1本で実がなるのは、家庭で育てるうえでうれしいところです。
剪定は「実を採ったらすぐ」
剪定のタイミング
実を収穫したあと、なるべく早く、好みの高さで切ります。
夏以降の剪定は避けてください。
大きくなりすぎないよう、毎年この時期に高さを抑えていくのが、庭で付き合うコツです。
気をつけたい病害虫
- 病気……萎縮病、実菌核病(実が白くなる)
- 害虫……カミキリムシ、アメリカシロヒトリ
ふやし方:挿し木
6〜7月に、その年に伸びた枝を15cmほどに切って挿します。
桑は「葉」もお茶になる
実のイメージが強い桑ですが、葉は「桑の葉茶」として昔から飲まれてきました。
桑の葉は、お茶の木(ツバキ科)とは別の植物なのでカフェインを含みません。味は緑茶に近く、クセの少ないお茶です。
味や一日の目安、飲むときに気をつけたい方については、こちらにまとめています。
庭の桑の葉を摘むときは
実と同じく、道路ぎわ・薬剤がかかる場所の木は避けてください。お茶にするには、きちんと乾かす必要があります。乾かし方の基本はハーブの乾燥方法をご覧ください。
桑の葉のお茶を、手軽に楽しむなら
桑の木は、庭に1本あると場所も手間も取る木です。そして葉をお茶にするなら、生乾きだとカビる、乾かしすぎると香りが飛ぶ——乾かすところにも、意外と難しさがあります。
長野県飯田市山本のケーキとビストロ美城(みき)は、ハーブを育てて、乾かして、ブレンドするところまでを10年以上続け、商品として販売しているお店です。敷地内のハーブ畑で20種類以上を自家栽培しています。
美城の原材料では「マルベリーリーフ(長野県飯田産)」と書かれていて、2つのブレンドに使われています。
⑧ ポンポコタヌキになりたくな〜いブレンド
マルベリーリーフ(長野県飯田産)/レモングラス(長野県飯田産)/レモンバーム(長野県飯田産)/ワイルドストロベリー(長野県飯田産)
どちらも原材料がすべて長野県飯田産のブレンドです。
畑の様子は自家栽培ハーブティーは何が違う?長野・美城のハーブ畑からで写真つきでご紹介しています。
まとめ
- 黒紫色に熟した桑の実は食べられる
- 青い実・病気で白くなった実は食べない。白い汁にも注意
- 道路ぎわなど場所に不安がある木の実は採らない。摘んだらその日のうちに
- 桑の木は10mほどになる、成長の早い木。庭に植えるなら場所を選ぶ
- 植えつけは落葉期(11月〜4月中旬)、剪定は実を採ったらすぐ
- 1本でも実がなる
- 葉はカフェインを含まない桑の葉茶になる
「食べてはいけない」の正体は、熟していない実や、場所の問題でした。知っていれば、初夏の楽しみがひとつ増える木です。
ほかのハーブについてはハーブの種類・名前一覧図鑑にまとめています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。



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